
◆《妻の入院》![]()
出産による妻の入院のため、朝から一緒に病院にいく。いよいよ、この日がやってきた。
早く着いたために病院の喫茶店で少し時間を潰す。さすがに昨日の夜から、心臓のドキドキが速くなるような、胸が苦しいような、重苦しい不快感が消えなかった。実際に病院に来ると、それが一層強くなる。そんな感覚を抱いて向い合って座っていても、話題がありそうで、なかった。
前に妻と二人だけで喫茶店に入ったのはいつだろう。一年前か、それとも二年前になるのか。外へ出ればお茶ぐらいは飲むだろうから、育児に追われてきたのだろうな……。
話すとすれば、この何年間かで話し足りていないことは山ほどある。すでに高い山だ。もはや十分やそこらではたどりきれないほどになっているだろう。かといって、それらを話してこなかったことが、お互いの状況を決めているわけでもない。話せてはいないけれど、お互いに話したつもりになっていることもあるだろう。お互いにとっての空気のような存在――そんなものになりたいなどと思ったこともないけれど、そうならねば長い間一緒にはいられないものかもしれない。
むすめのときはどうだったこうだった、などと話しているうちに時間がきて、夫婦の、貴重なお茶のひとときが終わる。
日程の都合がつかず、夕方、手術に関する主治医の説明をきくために再び病院へ。母親はここにいるということを納得させるために、むすめもつれていった。
今回も、むすめのときと同じ医師の執刀になる。あれからほぼ四年。週に二人としても四百人近く、半分としても二百人ぐらいの手術は経験してこられただろう。もう十分ベテランだ、などとへんな計算をしたりする。
妻は都合三度めの手術を受けることになる。前回までの結果として癒着がおこっている箇所も増えているため、出血を抑えるためには、傷口が大きくなったり、時間が長くなったりなど、いろんな事態が考えられるという話。覚悟はしているが、しんどい話だ。
遅くなったので、ファミリーレストランで食事する。むすめは疲れているのか、少しハイテンションになっていた。病棟はかなり暖房が効いていたので、風邪をひかないように神経を使うが、車の窓をあけたがってきかない。
(1999.11.9)
◆《幼稚園検診》
午後から、来年からの幼稚園で入園前の健康診断や制服採寸などがある。全部で四つの教室を回るのに二時間半、その間立ちっぱなし。もう少しやりようがないものだろうか。せっかく決めた幼稚園だが、いっぺんに不信感を持ってしまった。
その後、必要な物を届けにむすめと一緒に病院へ。もうくたくた……
(1999.11.10)
◆《手術》
昨日はなぜか疲れ切ってしまい、十時になる前に子どもと先を争うようにして寝入ってしまう。が、およそ一時間後に目が覚める。そうなるともう眠れないたちで、あきらめてパソコンに向かった。オンラインの友人をつかまえて、少しチャット。その後もやはり寝つかれず、二時頃からとにかく布団にもぐる。どうやら風邪をひいたらしく、鼻の不快感でむずかる子どもの声で、三時、四時とおこされる。結局6時前に起床。寝た気がしない。
この数日そうであったように、やはり心臓のあたりが苦しく、何度もつばを飲み込みながら午前中をすごす。気が小さいのかなんだかわからないが、緊張していることだけはたしかだ。
お昼前に病院につけば手術の前に話ができるということで、早めに家を出る。
妻はリラックスしていた。点滴をさして「もうつながれてしもてん」と言って笑う。その中味が「ほとんど水やねんてぇ」などということにはじまり、とりとめのない話題ばかりを続けた。手術室に向かうまで三十分もないはずが、すぐにとりあえず三十分遅れの知らせが入り、その後も遅れに遅れて、結局二時間遅れることになる。
そうこうしているうちに義母が病院に着き、それから三十分ほどでいよいよ手術室へ行くことになった。
(以下、あるばむのページへ)
(1999.11.11)
◆《手術翌日》
妻は本当に経過が良さそうだった。上の子のときは術後2〜3日のあいだ発熱し、歩けるようになったのもそのあとだった。今回は、発熱もなく、明日にも歩けそうなほどだ。羊水を含めた出血量が、前回より500〜600cc少なかったとのこと。それが大きいのだろうか。いやいや、私は、なんといってもこの三年ほどのあいだに上の子に鍛えられたのが大きいと思うのだが。
(1999.11.12)
◆《子宮収縮》
昨夜は子宮収縮で、体が壊れてしまいそうなほど痛かったとのこと。一晩中唸りとおしたらしい。男の身には想像がつくようなつかないような…… やっぱりつかない。
むすめを連れてスーパーに買い物にいく。風邪のせいもあるのか、店内の冷気を寒がり抱いてくれと言う。それはいいが、降りてくれない。情けないことかもしれないが、20キロを超えた今、20分以上も抱き続けていると腰がおかしくなってしまった。
(1999.11.13)
◆《腰痛ぎみ……》
案の定、腰痛……ぎみ。かといって子どもを全然抱かずにはすませられないのが辛いところだ。
(1999.11.14)
◆《脱力・絵本》(絵本めも Vol.5)
この数日、腰痛の上に妊娠生活?の疲れが出たのか、体がだるくて仕方がなかった。日課以上のことを、なにもする気にならない。
とはいえ妻の経過は良好で、明日退院である。なんとしても体調を戻すしかない。なにかと忙しいと思うので、一日早く図書館へいった。
今回は、
ばばばあちゃんのマフラー(さとうわきこ文絵、福音館書店)
まほうのえのぐ(林明子作、福音館書店)
へんなおにぎり(長新太作、福音館書店)
まいごのアンガス(マージョリー・ブラック作絵・瀬田貞二訳、福音館書店)
はるをよぶサイモン(ギリス・ティボ作・しまだこういち訳、好学社)
いそげいそげ(ブライアン・ワイルド・スミス原作絵・石坂浩二翻案、学習研究社)
かぜはどこへいくの(ゾロトウ作・ノッツ絵、偕成社)
まほうつかいのでし(上田真而子文・斎藤隆夫絵、福音館書店)
の八冊。
(1999.11.19)
◆《最近のことば》
『もも』
お尻のこと。どういうわけかお尻をふるのが好きで、少し前はキュキュッと腰をくねらせると、「ももみたいなかわいいお尻でしょ」と言っていた。それが転じて「お尻=もも」になったようだ。(1999.11.14)
『お話があるの』
自分の思いがとおらないと、こういって抗議しようとする。「ねぇ、ぱぱ、ちょっとぱぱにおはなしがあるの」という調子だ。そこに座れというように床を指さすこともある。なにかシテハイケマセン的なことで叱ったりしたあと、こんなふうに言われて「なになに?」とつきあうと、「ひとにね、そんなことをいうとね、このひと(自分のこと)がね、なくよ」などとお説教をされる。
今日は砂場遊びをしていて、気に入ったおもちゃをもっていかれそうになった友だちを追いかけながら、「まって〜、おはなしがあるの〜」。
こんな調子で、来年からの幼稚園生活を乗りきっていけるだろうか。(1999.11.19)
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