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2000年1月24日
◆《赤ちゃんを冷やす》

 一人めが生まれたのは5年前(!)の12月だった。
 子育てに慣れない夫婦は、なにもわからず、病院の暖かい新生児室と普通の部屋の夜の室温の落差が怖くて、冬中エアコンの暖房を切らずに過ごした。笑い話のようだが本当である。
 おかげで夏以上の電気代を払ったものだ。その上、ベビーベッドをどけたあとの壁にはかなりのカビが発生していて、情けない思いをした。

 二人めが去年の11月に生まれた今は、エアコンをつけようという話さえ出ない。
 ここへきて少し冷え込む日が続いているけれど、それでもそんな話は出ない。
 夜中のおっぱいコールで起こされると、手足をばたばたさせて布団を蹴とばしてしまった赤ちゃんが冷たくなっている。
 「おお、おお、かわいそうにぃ……」と言いながら、妻は赤ちゃんを布団でくるんでお乳を飲ませると、「あったかなったらすぐ寝てしもた。これこれ、もうちょっと起きてちゃんと飲みや」などとほっぺたをつついたりしている。
 つつかれたほうも、笑うだけはニタッと笑ったりして、要するに夜中に少々冷え込んでも、それ自体はあまり気にする必要もないようだ。

 ……などと思っていると、NHK の番組で、ノルウェーの子どもはなんと氷点下10度までは屋外で昼寝をして育てられるという話が紹介されていた。
 もちろん厳重な防寒具を身につけてではあるが、ベビーカーごと一時間ほど屋外に放置して、わざわざ寒さの中で昼寝させるというのである。大丈夫かときかれた母親は、笑いながら「凍らないかぎりは」などと答えていた。
 乳幼児期は体に褐色脂肪組織というものが多くあり、それが熱を発散して体温を保つから大丈夫だということらしい。そうやって育てられると、厳しい寒さに耐えられるようになるのだそうだ。

 そういえばいわゆるヤセの大食いというタイプの人には、褐色脂肪細胞の多い人が多いときいたことがある。
 ということは赤ちゃんのうちによく冷やして褐色脂肪細胞を鍛えておけば、将来ダイエットの心配がいらなくなったりするのだろうか。
 いやいや、ロシアのリゾート地なんかでテレビに映る人の中には、鏡餅みたいな人もけっこういる。そう簡単な話でもないのかもしれない。

 とりあえず今のところは、少々冷やしてもぷりぷりとした二人めである。