|
朝、犬の散歩をさせているときに、自転車に乗ったままたたずんでいる女子高生を見かけた。友だちを待っているのかなと思った。こちらが通り過ぎて少ししたとき、その友だちらしい女の子がやはり自転車に乗ってマンションから出てきた。さっきの彼女のほうへいきながら何か言ったのがひっかかって振り向くと、その子の左手に火のついたタバコが見えた。
……朝っぱらからくわえタバコで通学かぁ。
ここらあたりではそれほど珍しい風景でもない。まぁ、かわいらしくも見えないけれど、そんなことは彼女たちの知ったことでもないだろう。それにわたし自身タバコが大好きだったので、どうこういうのも気が引けるようなところがある。
妻が上の子を妊娠した年にタバコをやめたので、今年で五年目になる。それまでは、およそ二十年間、多い日には一日で六十本ぐらいを吸っていた。友人からはヘヴィスモーカーではなく、チェインスモーカーと言われていたものだ。それが今では、普通の一日ならまったく煙に触れない生活をしていることもあって、たまに煙にまみれると吐き気がするほどになっているからオソロシい。
禁煙に成功したのは意志の力……などではない。そんなものがあれば、何度も何度も禁煙にトライしながら二十年も吸い続けたりしなかっただろう。
ただ、何度も挫折しながらまた何度も禁煙にトライするのは好ましいことだ、という考えはあった。たとえば一年間に六回禁煙にトライしたとして、一回につき五日でも禁煙できれば一年間で一カ月の禁煙ができたことになる。数字だけで言えば、禁煙しないよりはよほどマシだろう。仮にピタリと禁煙できたとしても、すでに喫煙している体を一生の尺度で考えれば、結局は喫煙と禁煙の割合の問題でもある。ずーっとトライを繰り返しながら一生を終わっても結果は変わらないことがあるかもしれない、ぐらいに思うほうがいいだろうと考えていた。
ンなことを言ってるから、かえって禁煙できなかったのかもしれないけど。
|