|
いろんな犯罪がある。個人が被害者になるものとしては殺人がヘヴィだけれど、中には加害者が殺人にいたった事情に同情を感じるケースもある。こないだのサントリーの元部長が殺された事件なんかも、もちろんとんでもない話だとは思うけれど、どういう経過があったのかぐらいはきいてみたい気がする。
しかし、子どもの誘拐だけはそんな興味が湧かない。多少は湧いても、卑劣極まる犯罪という決めつけがわたしの中で動くことはないだろう。
一度だけ誘拐を覚悟したことがある。そのとき、今後は誘拐事件のニュースを聞くたびに切迫感や恐怖感がよみがえってくるのだろうと思ったが、一年半経ってもそのとおりだ。こう……胸というか鳩尾というかのあたりがむずむずして、そこに心臓や胃があることを思い知るような感覚。二日酔いのときとはまた違うのだ。それに加えて強烈な怒りと嫌悪感。べつにこだわっているわけではなく、家族のあいだでもその時のことは笑い話として出てくるのだけれど、実はまだ印象が生々しくて芯から笑えるようにはなっていない。
それにしても、事件のニュースの余韻があるうちにプリペイド式携帯電話の脳天気なコマーシャルを見聞きすると、いかにも企業側が無責任を主張しているような感じがする。そうなのか? 事件を模倣するやつとか、魔が刺した瞬間にコマーシャルを見るやつとかもいるわけだから、とりあえず広告だけでも少し自粛してみるとか。
(一年半前のわが家の小さな事件についてはこちらをどうぞ)
|