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負けん気が強いのか、上の子はよく「あっちゃんのほうがじょうずだよ!」「わきちゃんよりかわいいよ!」などと言う。知らぬ間に、親が姉妹の比較を口にしているのかもしれない。それとも負けん気というよりは嫉妬か。
たしか下の子が離乳食を上手に食べて、それをほめたのだったと思う。上の子がすかさず、
「あっちゃんのほうがじょうずやで!」
と言った。この種の言葉は絶対に無視しないようにしているが、あんまり頻繁になってくるとワカッタワカッタ……的な気持ちになって、たまにはからかってみたくもなる。
「そうやなぁ、おねえちゃん赤ちゃんも上手やもんなぁ」
と言いながら横目でうかがうと、目つきがキッとなって唇がとんがった。
「あっちゃんはあかちゃんとちがう、もうおおきなおねえちゃんになったんやで」
「そうかぁ、まだ赤ちゃんかと思ってた。こないだまでこんなにちぃちゃかったもん」
と指で三センチぐらいを作った。
「ちがう! あっちゃんはもうよんさいや。こんなにおおきいんやで」
と唇をとんがらせて胸をはった。
「四歳やろぉ? パパから見たら赤ちゃんみたいなもんやんか」
「ちがう! もうおねえちゃんや! そんなんゆーたら、あっちゃん、もうどこかへいってしまうわ」
「えっ、どこかいってしまうの? ごめんごめん、あっちゃんはもうお姉ちゃんやなぁ、わきちゃんよりちょっとだけ大きいお姉ちゃんや」
指で十センチぐらいを作った。
「もう! パパなんかきらい! もうどこかへいってしまうわ」
「ごめんごめん、ほんまにごめん、もう言わへん」
「もうどこかへいく。かえってけえへんで」
「いったらあかん、ごめんごめん」
それにしてもどこへいくつもりなのだろう? 一人で出歩いたことなんかないのに。
「もういくもん、どこかへいってかえってけえへんねん」
「ごめんって言うてるやんかー。……で、どこかってどこへ行くの?」
「……どこかへいくねん」
「ごめん、もう言わへん。せやからどこかってどこ?」
「…………」
「なぁ、どこいくの?」
「すなばのとこやんか」
なるほど、今のところ公園の砂場が唯一の外界なんだ。でも一人でいけるかなー。
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