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昼ご飯の直前、上の子が折り紙と、アンパンマンのキャラクターの折りかたが載っている本とを持ってわたしのところにきた。わたしは今日から開始したばかりの「問わず語りの日々」のページのための JavaScript を書いているところだった。
「パパ、アンパンマンおって」
「アンパンマン? オッケー、ちょっと待ってな」
とキーボードをカチャカチャやっていると、
「はーやーくぅ! アンパンマンおってよ」
「わかったわかった、けどもうお昼ご飯やで?」
「いいの、おって」
と言ったときに、下から用意ができたという知らせがあった。
「ほらぁ、先にご飯にしよう、食べ終わったら折ったげる」
「いや! さきにおってよ」
と言いながら座っている膝にのぼってくる。仕方ないなぁと折り始めたが、すぐに食事できたコールの二度めがかかった。そういえば昼ご飯のあとで母を美容院におくっていくことになっていた。
「やっぱり後で折ったげるわ。先にご飯すまそう、な」
と言って膝からおろして折りかけの折り紙を渡し、先に階段を降りようとした。すると娘は、
「おってくれへんのやったらもういいわ、こんなんいらん!」
と言いながら折りかけた紙をくしゃくしゃにしてポイと投げてしまった。
カツンときた。こういう極端なことをしたときは大きな声を出して叱りつけてしまうことが多いのだが、今日はなぜかもう一つのモードに入ってしまった。兄弟ゲンカモードだ。
「そんなんするんか。もうええ、もう絶対おまえに折り紙なんか折ったれへんからな!」
と言い捨てて先に階段を降りた。娘も負けてない。
「あっちゃんは、ごはんなんかいらんわ!」
「食べんでええ、降りてくるな!」
と言って階段の下のドアを閉めてしまうときのわたしは、妻や母の手前、ちょっとだけ笑っていた。二人してまた始まったという顔をして見ている。ドアを閉めるとあわてて降りてくるのはいつものパターンだった。
「パパが、おりがみが、……からわるいんや!」
怒っているつもりなのだが言葉がちゃんと出てこない。わたしは一言、
「うるさい」
すると娘はふくれっ面のまま、わたしの隣の椅子をずーっと後ろにひいて座った。
「さぁ、先食べよ」
とわたし。娘は、
「もっとまえやんか! まえにいってから、いただきますや!」
と椅子をひっぱれ(または押せ)と言う。イヤなこった。
「おまえなんかそこにおれ。そんな、人に折ってもらった折り紙をくしゃくしゃにして捨てるようなやつはもう知らん。大嫌いや」
などと、そこまで言っていいのかというような言葉がこの他にもわたしの口からポンポン出た。ケンカのときはいいのだ。子どものほうもケンカモードであることをどこかでわかっているのか、泣きだしもせずに昼ご飯のカレーを食べようとしていた。カレーには先日むすめが幼稚園のジャガイモ掘りで持って帰ってきたジャガイモが入っている。おばあちゃんが仲裁に入ってくれるのを黙ってきいていた娘は、勝ち目がなくなってきたと思ったのかとっておきのセリフを出してきた。
「パパは、あっちゃんがもうしんでもええんやな」
「知らん」
「ほんまに、しんでしまってもええんやな」
「知らん、勝手にせえ。人に折ってもらった折り紙をくしゃくしゃにして捨てるようなやつは絶対許せへんからな!」
「パパがせっかく折ってくれたのにくしゃくしゃにしたのはあっちゃんが悪いやんか、ごめんなさいって言うたらそれでええのに、なんでそんなこと言うの」
とおばあちゃんの助け船が入って、
「パパごめんなさい……」
と号泣して抱きついてきた。
「オッケー、もうケンカ終わり。もうするなよ」
と抱っこして一件落着。当たり前かもしれないが、やっぱり父親であることが出てしまって兄弟ゲンカみたいにはならない。もっと嫌いとかハラ立つといった感情面をとおせばいいんだろうか。……ほんとのことを言うとわたしには八歳年上の兄しかいないから、兄弟ゲンカらしい兄弟ゲンカは知らない。小さいころ、欲しくてたまらなかった弟がいたら、もうちょっと上手なケンカ?ができるのだろうか。
今日は十回めの結婚記念日。いろいろあってこれといったこともできないから、来年ちゃんとお祝いしようと言いつつ、コンピュータばっかりさわってる男でごめん。
ついでに禁煙五年の記念日。
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