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朝食の食卓に、グレープフルーツが並んでいた。大きくてずっしりしたやつが買ったままになっていたのだが、切ってみるとやっぱり当たりだった。皮が薄くてジューシーな実がたっぷり。一人あたり二分の一個の割だった。
「あーっ!」
食卓に座ったむすめが大きな声で言った。今日はわたしの隣だ。
「どうしたん?」
「こっちがおおきい」
わたしのグレープフルーツをさして言う。
「おんなじぐらいやん」
「ううん、パパのほうがちょっとおおきいんとちがう?」
「そう? じゃあ替えたらいいよ」
さっそく、嬉しそうな顔をして入れ替えた。しばらくすると、
「あ! やっぱりこっちがおおきい」
そうなのだ、隣のモノほど大きくておいしそうに見えるものなのだ。
「そうやろ? パパのお皿は魔法のお皿なんや。入れると大きくなるねん」
「ほんとや……」
「ウソやって。どっちでもいいから、好きなほうから食べ。足らんかったらパパのも食べたらいいから」
それでもイマいち納得のいかないむすめは、しばらく二つのグレープフルーツをくっつけてみたりしていた。そうやって気に入ったほうを妻に渡すと、妻が実の部分をスプーンでくりぬいて小鉢に入れた。
「ほんとに、ころんって取れるわ。大きいし。きっとおいしいで、これ」
と言っていた。小鉢をもらったむすめがさっそく襲いかかる。
「あまーい! あまくってとってもおいしいー!」
どれどれ…… うむ、手ごろそうな実をお箸でつまんで一つもらったが、たしかに甘くておいしかった。むすめは見る間にぱくぱくっとたいらげると、当然のようにもう一つ――つまりわたしの分――にかかる。これはわたしが実を出してやった。
「どうじょ」
と妻やおばあちゃんにもお裾分けをして、きれいに食べてしまうと、たっぷりとした果汁が残った。
「パパ、パパ、ここにね、ミルクをいれようか」
と、なぜかひそひそ声で言ってきた。
「んー、どうかなぁ、固まるんとちがう? おいしくないで」
「でもいれてみたいな」
「いいよ、これぐらいか?」
と入れてやる。ツツっとすすると、
「かたまってないやん」
というので、スプーンにとって細かい粒状に固まっているところを見せてやると納得したようだった。
「でも、おいしくないわ。もういらん」
「だからおいしくないって言ったやん。砂糖入れたら?」
と言いながら甘くしてやると、ふんふんと頷いてごくごく飲んだ。ちょ、ちょっと味見させてくれよ、と言おうとしたとき、
「さっきから何を二人でコソコソしてるのー」
と妻に言われた朝。
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