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2000年9月11日(月)
◆《してくれない?》

 大阪生まれの大阪育ちだが、大阪弁にはあまりこだわらない。もちろん嫌いではないし、船場の言葉と河内弁の違いもだいたいわかる。その気になればいわゆるガラの悪い言葉使いもできるだろう(それが地ぃやという噂も大いにある)。妻の言葉も大阪弁だが、丹波地方(兵庫県)の言葉が混ざるので少しやわらかめの感じか。いずれにしても家庭的なベースは大阪弁だ。

 子どもは当初はテレビベースの標準語が勝っていたように思っていたけれど、妻によると二歳のときに「小さくても大阪弁ですね」と言われたことがあるとか。三歳ごろから大阪弁を本格的に練習?しはじめて、四歳の今は幼稚園での言葉も入ってきていろいろなアクセントやイントネーションを使うようになった。たとえば疑問を表現するときでも「〜だよね?」「〜なの?」「〜やんなぁ?」「〜でしょ?」など豊富な語尾がある。おもしろいので親のほうが子どもの言葉を真似ることも多い。風変わりな言い方はなんとなく楽しいし、子どもと同じだと伝わりやすいような気になったりもする。その意味ではこの日記で書いている会話は基本的には書き写しで、大阪弁での会話を翻訳しているケースはあまりない。

 という感じなのだけれど、最近疑問に思ったのが「〜してくれない?」という表現だった。先日これが敬意表現であるということを新聞で知った。たまたま子どもが夏ごろから使い初めた表現の一つでもあって、たとえば、
「ねぇぱぱ、どらえもんのアイスクリームとってくれない?」
 のような形でよく言った。ただ、これを子どもに言われるとどうもひっかかるものがあったのだ。またこれは一種の省略形で、
「ねぇぱぱ、どらえもんのアイスクリームがほしいんだけど。とってくれない?」
 でもあるらしく、
「ねぇぱぱ、どらえもんのアイスクリームがほしいんだけど」
 で終わる場合も多かった。こっちはさらにひっかかる言い方で、今風のイラち(せっかち)な大阪人であれば「せやからなんやねん!」と反応してしまうこともあるだろう。しばらく様子を見ていたが、結局身近な処世術という意味でもそういった言い方はやめたほうがいいと言いきかせた。わたしとしては、
「ねぇぱぱ、どらえもんのアイスクリームとって」
 で十分。丁寧に言うのであれば、
「ねぇぱぱ、どらえもんのアイスクリームとってくれへん?」
 だろうか。

 ……とここまで考えて、ようやく「とってくれない?」が「とってくれへん?」と同じで、国語審議会のいう敬意表現であると感覚的にも理解できた。ただし自信はない、というか「〜してくれない?」は「〜してくれませんか?」を敬意ごと端折った言い方にしか聞こえないのだ。大阪人に独特の感覚なのだろうか。それともわたし(妻もらしい)の個人的な感覚なのだろうか。


♪ with The Boom on the radio."Kaze ni Naritai",etc.