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ほとんどの場合、朝はわたしが一番早く起きる。静かな、一人の、そして頭の新鮮な貴重な時間。コンピュータを起こし、オーディオをつける。ソースは気分で決める。ラジオのα-Station(FM京都)が多いか。そのまま下におりてコーヒーなどの飲み物をもってくると、メールチェックから始める。
「パパ、なにかあったよ」
いきなり居間との境の戸があいて、上の子がどたどた歩いてきた。起きたのかぁ……。
「パパ、なにかあったよ、ほら」
ピンク色のハンカチを持っている。なにかあったのではなくて、自分で用意したもので、すでに芝居に入っている。少し鼻声だ。
「あっちゃん、おはよう」
挨拶を返すまではこのことばを繰り返されるので、最近はすぐに応えるようにはなってきた。
「おはようパパ。ほらね、みんながいるでしょう?」
セーラームーン系のキャラクターが三人描かれているハンカチを指して言う。
「パパはだれがすき?」
「みんな好き。青色」
髪の毛と服の色だ。適当に答える。
「ブルーのこ? あっちゃんはピンク」
本当は赤だが、まぁこまかいことにはこだわらない。またどたどたと帰っていった。ヤレヤレ、今日はついてない。えーっと、未読メールは ML も入れて70ほど……。
「パパ、またなんかあったよ! これはなーんだ」
おーまいが。今日は特にテンションが高そうだ。手にはさっきのハンカチで何かを包んで持っている。
「わからない。紙?」
「ぶー」
ぱらぱらとハンカチを広げるとポケットティッシュが出てきた。
「てぃっしゅでしたぁ」
そう言って帰っていった。ティッシュも紙だが、こまかいことにはこだわらない。ラジオからはビートルズの Get Back。
「パパー、これはなーんだ」
見たところさっきと同じ。触ってみても同じだ。
「ティッシュ」
「ぶー。てぃっしゅきてぃでしたぁ」
ポケットティッシュはキティちゃんグッズだった。どたどた帰っていくとしばらくしてクシャミが聞こえた。
「パパー、くしゃみしたらでたぁ」
右側の鼻の穴からの見事な垂れ下がり。
「わかったわかった、落とすなよ。拭いたげるからそのままこっちにおいで」
拭いていると、うしろで下の子の声がした。これで決定的だ。今日はあきらめ……よし、このまま速攻で書いてやる。
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