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2000年11月7日(火)
◆《ややこしい朝》

 朝ごはんを食べ終わったかと思うと、わたしの母の部屋にいってそこから「ようちえんやすむ〜」と上の子が言った。まただ……。このところ何かというと行くの行かないのと朝からややこしい。そうそう、駐車場の契約更新で、契約書に押印して返送してくれとのことだった。忘れていた。ややこしい。行きたくないのなら休ませればいい。しょっちゅうガタガタ言うのなら幼稚園なんかやめてしまえ。
 そのまま二階に上がると、すぐに妻子も上がってきた。
「バンビちゃんのぬいぐるみを持っていきたいんやて」
「はあ?」
「そんなん持っていかれへんから、写真とって持っていったら幼稚園いくっていうねん。デジカメある?」
「印刷するの? 今から?」
「うん」
 ……こ、こいつ正気か? いや、やるというのなら五分かそこらのことだが。しかし朝は仕事場用のデータのシンクロとかなんだかんだとややこしいんだ。そうそう、だから契約書も早いとこ片づけてとか、ほっておいたオレも悪いんだけれどもさ。イライライライラ。
「あかん、そんなん!」
「……はぁい」
 と妻。
「朝からガタガタ言うんやったらもう休め。いかんでいい!」
「はぁい」
 なんでもいいから行く気にさせればいいのに……もぉ、すぐ怒るんやから。ぐらいは思っているかもしれない。しかしこういうのは自分の言葉でますます腹が立ってくるものだ。ごちゃごちゃと朝の用意をしているうちに一度子どもにもビシッと言ってやろうという気になってきた。妻は洗濯かなにかで降りていた。見ると、むすめは頭から子ども用の布団をかぶっている。
「しんどいのか?」
「うん」
 顔を出した。
「どうしんどいの」
「のどががらがらしていたいの」
 たしかにしわがれ声ではある。ホントにいつまでもすっきりしない。いい加減に治せよ!
「咳でるから幼稚園にいきたくないのか?」
「うん」
「わかった。そしたらお医者さんにいこ。用意しぃ」
 と言えば、イヤって言うだろう。じゃあがんばって幼稚園にいけっと。たしかに朝メシのときは元気ないような気もしたけど、起きたときは元気だったんだ。
「はい」
 と言ってすっくと立ち上がった。えっ? なにそれ、ほんとに行くの? いやいや、オレは怒ってないデ、それはハッタリでやな、おまえ医者嫌いやから……って急にずっこけた顔もできん。
「ほんとに行くのか?」
「うん。パパとおいしゃさんにいって、みてもらう」
「……そ、そうか。お薬もちゃんと飲むのか? お口もちゃんとあーんてするのか?」
「うん。おくすりものむし、あーもする」
 オイオイオイオイ、ほんとにそんなにしんどいの?
「熱は? 測った?」
「はかったけどなかった」
 まいったナ。こんなに素直に医者にいきたがるとは。しかも熱もないのに。まぁ今日ならついていってやれないこともないし、たしかに昨日もいまいち元気ないなぁとは思っていたけれどもサ。
「そう。……わかった、そしたらいこう」
 というわけで、とにかく医者に連れていくはめになってしまった。妻の努力を却下した上で自分でまいたタネである。すぐにすむことを祈りながら家を出た。

 結果は予想どおりで、まだノドが赤いですねぇ、咳が深いのは気になりますけど一週間程度は続きますから、とのこと。それはともかく、しかし医者では本当に口もちゃんとあいた。今までは泣くほどイヤだったのだ。また嫌いな飲み薬も医者に対して「のみます」と約束までしおった。そして、体操だけお休みするということで、少し遅れただけで幼稚園にもいった。なんでもいいよ、とにかくスカッと治って毎朝楽しく出かけてくれい。