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朝起きたときにふときいてみた。
「おはよう。あっちゃんの誕生日はいつになった?」
「あとふたつねたら。おばあちゃんがそういってたよ」
「で、一つ寝たからあと一つやろ?」
といってもきょとんとした顔をしている。減っていかないと誕生日が永遠にこないデ。
このところビデオに走りがちだったので、この二、三日は絵本と紙芝居で寝かしつけるようにしている。結果的にそのほうが早く寝てくれるので楽なのだ。今図書館から借りている紙芝居は「おしゃれなケーキのケーコさん」「あめたろう」「クリスマスのこいぬ」の三つ。どれもとても気に入ってくれたのはいいのだけれど、咳が出て声の出にくいときなので読むのもたいへんだ。
特に「あめたろう」みたいな、龍神さまの出てくるような日本の昔話風のものは今まであまり好みではなかったので、少し世界が広がってきたようでこちらも嬉しくなる。ただ「クリスマスのこいぬ」はちょっと失敗だった。男の子がサンタクロースに子犬をもらう話で、どうしてもこの春死んでしまったドンのことを思い出させてしまうのだ。一度やってからはそぉっと避けていたのに、どうしてもというリクエストに負けてしまった。今まではただ「ドンちゃんかわいそうだね」とか「またドンちゃんにあいたい」などと言うだけだったのに、今日は「ドンちゃんくるしそうにしていたね。くろいおしっこしてたから、おうちにいっぱいしんぶんしいてた(新聞敷いてた)ね」と言われて驚いた。そんな記憶もちゃんと残っているのだ。
「サンタさんはドンちゃんくれないの?」
「くれないやろなぁ。ドンちゃんはもう死んでしもたんやから」
「かわいそうだね」
「うん。でも一杯長生きしたからな、仕方ないわ」
「パパはさみしくないの?」
「寂しいよ。ドンが小さなときからずっと一緒に散歩とかしてきたからな」
「ずっとおさんぽしてたの?」
「ずっとしてたなぁ……」
こういうのは、言葉にすると自分でも予想しない回想の引き金になってしまったりする。ドンが小さいころのことも思い出されるけれど、やはり死んでしまう間際の、首に力の入っていない頭の軽さの感触がまだ生々しい。あのときも子どもの風邪などが重なって大変だったな……。妻は下の子から手が離せないし、朝から子どもの医者、わたしの母親の医者、犬の医者とまわらねばならず、それだけでクタクタになってしまったこともあった。ずいぶん前のことのような気もするけれどまだ半年ほどしか経っていない。
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