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2000年12月16日(土)
◆《音楽会》

 昨日の夜は十時、十一時、一時、二時、三時、五時という感じで下の子が発作のような咳をして、そのたびに吐いたりした。その前の夜も似たようなもので、子どももつらいが親もつらいところだ。わたしはそろそろましになってきたけれど、妻はまだかなりの咳をしている。今朝などはせいぜいゆっくりしたいところだが、今日はむすめの幼稚園の満を持した音楽会なのだった。ふぅ〜。
 もちろんそんな状態の妻と下の子が行けなくなることも考えていたけれど、今回の風邪は咳がしつこいだけで発熱など他の症状がほとんどなく、昼間は咳もある程度おさまって元気だったりする。だから妻さえ覚悟を決めれば下の子と三人で行くつもりはしていた。案の定妻は覚悟を決めた。目指すは市内の文化会館だ。

 Europe というバンドの86年のヒット曲、The Final Countdown の打楽器による演奏がオープニングだった。かつてのヘヴィメタル?の名曲もいまや幼稚園で演奏されるのだなぁと思っていると、そういえばこの曲は、世紀末商法用の2000年バージョンが出たときいたことを思い出した。かつての名曲ではなく、ひょっとしたら巷で流行っているのかもしれない。
 むすめは全体に緊張気味だった。まぁ無理のないところだろう。練習をイヤがったりしていたのでとにかく終わったというだけで十分な気がする。正直なところ、二時間半ほどのプログラムが終了するころには解放されたい気持ちでいっぱいだった。悪い観客である。だが二、三曲ならともかく二時間をこえてくると、子どもの演奏に独特のあの粘着力のあるような後ろにもたれたリズムがたまらなくなってくる。指揮者の先生の手の動きと実際の音の時間差が、必死で見つめて判断して演奏に結びつけようとしている子どもの、とまどいや疲労に見えてくるのだ。こちらまで疲れてくる。たしかに子どもたちが一生懸命にやっている姿はけなげで、かわいく、感動的でもあるのだけれど、彼らにとって一番必要なものであるという気はしない。思い切り自由に遊ぶことが一番で、それ以下の何番目かにこういう演奏会もあってもいいという感じだろうか。町中では安全に遊べる空間そのものが貴重なのだから、その一つである幼稚園が演奏会のための練習で埋まってしまうと、子どもの遊ぶ場所と機会が無くなってしまう。などと思うのは、今読んでいる「子どもとあそび」(仙田満著/岩波新書)の影響かもしれない。
 とはいえ、千人以上入るホールのステージに立つという経験もそれなりに貴重なものだ。両親に加えて祖父母などが子どもの姿を見ようとするだけでこれだけの人数になってしまうのも事実だ。「おもしろかったよ、あっちゃんがんばったでしょ」と言う子どもを見ていると、これはこれで良かったのかなとも思う。


♪ with "The Who" / Quadrophenia