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2001年3月12日(月)
◆《嘘つきで始まるもの》

 幼稚園の懇談会だった。先日来の、延長保育のときにお絵描きをさせてもらえないという娘の言いぶんが気になっていたので、妻が確認したらしい。自分は転入生なのでもとからの園児の子がお絵描きをしているときでないとお絵描きをさせてもらえないという話だ。結果はちょっとショックなものだった。どうも娘の狂言らしかった。先生のほうから気をつかって声をかけてもらっているらしく、機嫌よく遊んでいるときはすすめてもお絵描きをすると言わないのでそのままにしていたとのこと。もちろん嘘を仕組んでどうこうというわけではないから、狂言という言い方は正確ではないだろう。頭の中で作ったお話と現実との境目がわからなくなるような感じなのかもしれない。たまたま昨日も「足痛い騒ぎ」があったばかりだ。おかげでイメージするのが楽だった。
 
 良い方向でとってやるなら、頭の中に描いたお話を、大人がある程度信用するぐらいに語れるようになってきたとでも考えればいいのだろうか。嘘の一つも言えるようになることで、泥棒以前の、人間としての始まりというところかもしれない。そういえばわたしの小さいころにも、口を開くたびにあることないこと思いつくままに喋るような友だちがいたような気がする。だからどうだということにはならず、そのまま話をしていたと思う。みんなして夢のような世界に住んでいたということだろうか。たしかに娘と友だちの会話をきいていても、そんなところがある。なんとなく娘のいる世界が少し見えたような気がしたけれど、だとすれば昨日言った「ウソをつくなよ」ということも、まだまだ厳しすぎる要求なのかもしれない。いずれにしても少し様子を見ていこうということで妻と話をした。
 ……待てよ、細かい状況は忘れたけれど、「パパのうそつき」と言われた最近の記憶があるゾ。ということはそれなりにウソの意味もわかっているわけだ。ややこしいが、とりあえず親のウソがばれているようでは説得力もないのだろうか。


♪ with "And About Time Too..." / Bernie Marsden