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衣替えというか、大掃除というかの一日になってしまった。妻が自分の妹のところと交換しあっている子ども服が届いたこともあってのことだ。
暖房器具などの片づけも兼ねて午前中からわたしもバタバタしていたが、子ども服をどうするかなどは妻にまかせるしかないのをいいことに、三時をすぎたころから上の子と近所の川にでかけた。一級河川の中では全国で一、二を争うほどの汚さらしいが、川は川で、草野球ができるような河川敷の広場もあったりする。悪臭でもすればかえって寂しい気持ちになりそうなので、引っ越してから一度は来ようと思いながら来られずにいたのだった。
二百メートル以上ありそうな橋を渡ってから河川敷に入る。最初に降りたところは整地の最中でデコボコだった。少し離れたところでは少年野球をしている。とりあえず川そのものを間近に見てみたいわたしは、さらに土手を降りて、水位が高くなると川底になるはずの砂地にまで降りてみた。水のういてきそうなところをさけて白い砂地に立つ。見た目にはきれいな白い砂だった。けっこう広い川原になっている。水際まで降りることのできない対岸は、土手を歩く人が一人二人と通るだけで、こちら側は見渡せるかぎり誰もいない。子どもが遊べそうなところなのに誰もいないのは、やはり水が汚いという意識があるからだろうか…… と思ったときには、三度のメシより砂遊びの好きな上の子がすでに砂山を作り始めていた。無理のないところだが、きれいに見える砂でも汚れた水にまみれて運ばれてきたわけだから、それなりに有害な物質が含まれているような気がしてなんとも落ち着かない。哀しい話だ。ダメばかりを言う気にならず、とにかくしばらく様子を見ることにした。水際に近づいてみると、予想していたよりはきれいな感じの水で、二、三十センチぐらいまでなら川底が見えそうだった。ゴミはいろいろあるけれど、それも予想を超えるほどではない。不快なほどの匂いもなかった。ふと思いついて、飛び石を見せてやることにした。飛び石連休の飛び石とは違うけれど、他の言い方を知らない。水面にむかって石を投げて何段にもジャンプさせるやつだ。いいもの見せてやると子どもに話して、一発で決まるような形の石を探してしゃがもうとした。そのとき膝の裏あたりで鋭い痛みが走った。
びっくりして立ち上がり、痛みのあったあたりを手でさぐってみると、なんと「ひっつき虫」だった。去年の秋に実ったオナモミの実で、土手の草むらを抜けてきたときにくっついたらしい。ただ、今までのあいだに水位の上がった時期があるらしく、トゲトゲにゴミがからまって灰色で大きく、少し不気味に見えた。
「むしなの?」
たぶん初めてみる子どもが怖そうに言った。
「ちがうちがう、植物の種や」
「たね? むしっていったよ?」
「ひっつき虫っていうけど、虫とちがうねん。ちょっとゴミがついてて気持ち悪いけどな」
と言って笑うと、
「いっぱいついてるよ」
と子どもが言った。えっ?と思って見下ろすと、膝から下の全体にゴミにまみれた灰色の「ひっつき虫」がついていた。十個ほどあっただろう。けっこう不気味に見えたかもしれない。すべてを取って、最後の一つはていねいにゴミをとって、子どもに触らせてやろうとした。ところが怖がってどうしても触れてみようとせず、結局わたしがあきらめた。恐がりめ。
そのあとは二人してたくさん石を投げた。
帰りには秘密の場所にしようねと気に入ってくれたようだったが、やはり汚い川では寂しい。
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