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「パパ、ロボットのいぬこおて(買って)ほしい」
最初にそう言われたのはひと月以上前だった。春ごろから子犬がほしいとよく言うようになり、とりあえず下の子がもう少し大きくなるまでは我慢するように言い聞かせたりしていたのだが、ならばと持ち出してきた娘なりの代替案だった。そのうちにわたしがスズメの雛を拾ってかえり、それが翌日死んでしまうということがあった。そのため小鳥がほしいといいだすかと思っていたのだが、ますます拍車のかかったのが「ロボットの犬がほしい」だった。たった一日でも、一生懸命にかわいがったスズメが死んでしまったことで、生き物の命を背負いこむことは自分にとってまだ荷が重すぎると悟った……などというのは親の欲目だろう。けれど「ロボットだったらしなないから」と言われると切なさを感じるものだ。ほんとのところは、なにかで見かけたおもちゃを単純に欲しがっているだけかもしれない。
もちろんアイボを子どものおもちゃにするほどの余裕はうちにはない。アイボの超廉価版で千円台からあるぬいぐるみ風のものならなんとかなりそうだ。それでも歩いたり鳴いたりぐらいはするらしい。飽きるために買うようで気が進まなかったけれど、最近では休みにスーパーに連れていくたびにこれがほしいと大騒ぎになり、下の子までそれを真似するようになってきたので、あきらめて買うことにした。
こういう種類のものはトイザラスがいいだろうと、土曜日の午後、あらためて子どもをつれて出かけた。
上の子用のものは、セントバーナードの子犬といった感じで、スイッチを入れると「キャンキャン」に似た音を出して歩き、適当に座ると「ハァハァハァ……」と息の音を出す。抱くと「クーン、クーン」という音で、そのうちに眠っていびきをかく。下の子用はワイヤードリモコンのマルチーズで、一つのボタンで歩き、もう一つのボタンで鳴くようになっている。対象年齢は三歳からとなっているけれど、そんなリクツは下の子には通用しない。とにかく姉と同じか、それに近いものでないと納得しないのだ。いつまでつづくかはわからないけれど、とにかく今のところは二人とも喜んであそんでいる。
ロボットと呼ぶにはおこがましいものだが、少なくとも娘はそんなふうにとらえているらしい。「おもちゃ」よりは少し生き物に近いのだろうか。いずれにしても子どもから「ロボット買って」と言われてもそれほど不思議のない時代なわけで、「鉄腕アトム」で育ったわたしにはいかにもSFマンガ的な懐かしい未来のイメージだったりする。そういえば、今の子どもに人気のある未来ものの話ってなんなんだろう? わが家ではついつい古いもののビデオなどが多くなっていて、今風のものにはめっぽう疎いのだが、三十年ほど後に懐かしい未来を感じさせてくれそうなものはあるのだろうか……。
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