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上の子に絵本を読んでやるときは、上向きに寝ころんでいることが多い。わたしは枕をし、娘はわたしの左腕を枕にして、いつでも眠れる体勢になる。たいていが寝る前の時間なのでいつの間にかそうなってしまった。それでもわたしのほうが先に眠くなって娘の顔の上に本を落としたことは、まだ一度しかない。……二、三度だったかもしれないが、とにかく娘が恐怖を感じている様子はない。
問題は下の子だ。同じようにしてほしいようだが、両腕に一人ずつ抱えるのはページをめくることができなくなるのでアウト。といって、わたしと上の子の間に割り込むことも許してもらえない(もちろん姉に)ので、しかたなくわたしの頭のあたりで横向きに寝ころんで絵本を見上げている。退屈してくると妻のところへいくようだ。
下の子というのは柔軟なものだなとよく思う。上の子から見ると自分の世界に割り込んでくることの多い存在のようだが、下の子自身は、当たり前だが最初から上の存在を前提にしている。必要があれば姉のものでも自分のものにするし、姉のエリアに割り込むし、姉を排除しにかかる。そして姉を真似る。もちろんいろいろな衝突もあるし、これからもっとそれが激しくなっていくのだろう。だがまぁ大雑把に言って、姉がいることの恩恵は大きいように見える。兄のいるわたし自身にとっても上と下のどちらがトクかというのは興味のある問題なのだが、自分の子どもを見ているとやはり年上の存在から得るもののほうが多そうで、ありがたいような悔しいような気分になる。
「ほっぺたつかんだー!」と上の子が泣く。親ばかまるだしになるかもしれないけれどおねえちゃんのほっぺたは一級品だ。色、艶、大きさと、アンパンマンにも負けやしない。一歳半ぐらいのころにはぼんやりと景色が映りこむのを見たことがあるほどだ(たった一度だけわたしが見ただけなので言い放題である)。その豊かなほっぺたを、最近下の子がわしづかみにするのだ。※えげつない話だが、手の大きさもぴったりでつかみやすいのかもしれない。そんなアタックが失敗に終わったときには、姉の顔に爪痕が残ることもある。だが、泣き叫ぶことはあっても、姉が必要以上に攻撃することはない。もちろん当初から親もうるさく言ったがよく辛抱してくれるようになった。そうやって、「何もかもが自分の思いどおりにいくわけではない」という対人関係の基本を学べることこそ、下の子がいることの最大のメリットだろう…… というのは、やっぱり弟の悔しまぎれな言い分だろうか。(※えげつない=ひどい)
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