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下の子が生まれたとき、上の子の嫉妬を想像するのは簡単だった。それまで自分だけのものであった両親や家族を妹と共有することになるわけで、特に母親は、その妹がある程度大きくなるまではかかりきりになることもあるだろう。それが姉の疎外感につながったりするのはイメージしやすいことだった。それだけに、あれこれと気をつかってきたものだ。
ここへきて下の子の嫉妬を見せつけられることが増えてきた。しかもそれが、いきなり叩いたり引っ掻いたりという暴力として表現される。これはわたしはあまりイメージしていなかった。
絵本タイムが危ない。それまで下の子の本を読んでやったり、一緒にあそんだりしていても、寝る前の最後の本を上の子と選んでいるだけで攻撃されたりする。ほっぺたを中心に顔をつかむようにしてくるので、五ミリ程度の傷あとがすでに三つ、上の子の顔に残っていた。そしてさらに今日四番目ができてしまったのだった。姉が大きな叫び声をあげたとき、その顔はわたしから陰になっていたので見えなかった。不意打ちのような妹の指が左目のあたりにかかったらしい。目の玉をやられたのかとあわてたけれど、どうやら目の下ですんだようだった。やれやれだが、そのあとの下の子の態度があきらかに反抗的だった。あやまりなさいと言われるといつもならそれなりの反応をするのに、今日は何度言ってもそっぽをむいてテレビのほうを見たりするのだ。その様子はやはり嫉妬を感じさせるものだった。非暴力を自分に課している姉に、攻撃してきた手を払いのけるぐらいのことはしないとだめだと諭しつつ、なだめてなだめてしていたのだが、最後には「いもうとなんかおれへんほうがよかった、めちゃくちゃばっかりや」と言われてしまった。……まぁそう言うなよなぁ、大きくなって親がいなくなったら唯一の肉親になるのだから。
三歳になる前のころ、オマルに座った上の子の顔をのぞきこんでいきなり平手打ちを食らったのを思いだす。いろいろ物を投げられたりもしたっけ。他にどんなことがあったかと考えてもすぐには思い出せないのだが、とにかく下の子が三歳になるのはまだ一年以上先のことだ。
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