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2001年7月4日(水)
◆《「ぱぱ」は万能》

 下の子の得意な言葉は「わんわん」「ぱぱ」「まま」「いや」「うん」「あー」「にゃあにゃあ」「ねぇねぇ」「ぷー」「うぉー」といったところだ。実際にはこれだけの言葉から世界が成り立っているわけではなく、なにかをもってきてくれと頼むと実行できるし、「かえる」や「しまうま」なんかも識別できているから、発音できないだけで理解している言葉はもっとたくさんあるのだろう。べつに慌てるでもなく、発音できる言葉だけで世界を楽しんでいるようすが、姉のときとちがってのんびりしており、それもまた楽しい。発音できない言葉は、すべて「あー」で代用したりするのだ。

 上の子のつかったあいうえおの本がある。たとえば「あ」のページだと右側のページにアヒルのイラストが描いてあり、左側のページにはひらがなの「あ」とその下にアサガオやアシカなど「あ」のつくものの小さなイラストが五つ並んでいる。それがひらがなの各文字についてあるわけだ。絵本ならなんでもこいの下の子はやはりこの本も大好きで、よっこらしょと持ってきては読めという。読めといわれても「あ」なら「あ」しか書いてないわけで、あとは「これはなぁに?」的に楽しむしかない。ところがすでに書いたように下の子の発音できる言葉は数個しかなく、それ以外は自信をもって「あー」で代用するのだ。つまりあいうえおのページをいくらめくっても「あー」で、犬と猫とライオン以外のイラストはどれを指さしてもすべて「あー」なのだ。わからないときは黙るでもなく、とにかく一冊を「あー」でとおしてしまう。世界を見切ったようなこの自信は一体どこからくるのだろうか。

 もう一つ、「ぱぱ」の使い方も達者だ。最近であればたとえばブドウがおやつになったりするのだが、これをわたしの母が食べさせてやろうとすると、
「ぱぱ」
 という。
「そうか、そしたらパパにもらい」
 とわたしの母がいうと、さっそく
「ぱぱぁ〜」
 とわたしのところにもってくる。これを忙しかったりしていい加減にあしらったりするともどっていって、
「ぱぱ……」
 と言いつけるのだ。
「そしたらおばあちゃんがあげよか?」
 ときいてもやっぱり、
「ぱぱ……」
 と今度はちょっと泣きが入ったりする。
「ほんならもう一回いっといでぇな」
 と言われてまた、
「ぱぱ、ぱぱ」
 ともってくる。わかったわかったと今度は食べさせてやるとまたもどっていって、ニカァとしながら、
「ぱぁぱぁ〜」
 と報告するという具合だ。言葉数は少なくとも口数は多い、なかなかのやり手である。


♪ with "Lovin' You" / Janet Kay