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2001年8月10日(金)
◆《午前三時の憂鬱》

 下の娘の「ちゃあ」という大きな声で目が覚めた。「いちゃあ」とも聞こえる。お茶(や水)がほしいということで、妻が枕元に置いておく水筒をさしていた。カップがわりの水筒のフタに少しだけお茶を注ぐと、自分の手に持って飲む。そしてカップをもどすと、またすぐに「ちゃあ」と言うのだった。午前三時を少しすぎていた。
 水筒は、ボタンを押すと中味が注げるようになっている。そのボタンを押すことを最近マスターし、自分に押させろと言うのだった。彼女としてはさらにそのままカップにも注ぎたいのだが、それはこぼすので却下。水筒をやったりとったりしながら何度もお茶を飲んでいた。やめさせると泣くので、これで終わりといいながらもつづけさせられていたらしい。昨日の夜もそうだったらしいが、とんでもない癖がついてしまった。
 すでに二十分ぐらい経っていたらしいけれど、わたしが起きてからだけでも五、六回は繰り返しただろう。いい加減頭にきて、「もう終わり。ちゃんと寝なさい」と口をはさんだ。真っ暗なので表情がわからないけれど、一応納得したのかしずかになったのでわたしが水筒を片づけた。だが、数秒後には号泣が始まってしまった。

 このときは数秒ですんだものの、下の娘が泣き顔になってから実際に一発目の泣き声を出すまでが異様に長い。肺活量があるのか、全身の隅々にまで悲しさや悔しさを染みわたらせてから泣き声をしぼり出すような感じだ。カウントしたことはないが十秒ぐらいのあいだがあくことはザラだろう。こちらが慣れるたびに記録がのびていくようで、ひきつけを起こしたのかと慌てることもしょっちゅうだ。般若のような泣き顔の表情で攻めてきた姉とはまたちがうプレッシャーをかけてくる…… などと気楽なことはあとだから言えるので、そのときは叩いて泣きやむかどうかをまじめに吟味するほど頭にきていた。

 何度も何度も子どもにつきあってやる、こんなときの妻にはいつも敬服する。結局それからも五、六回「ちゃあ」を繰り返し、もうダメと妻が眠りこけたのを見とどけるようにして娘も眠りに落ちた。さて、今夜はどうなるだろう……。


♪ with "Catupiry" / Ono Lisa