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2001年8月19日(日)
◆《見つけたのは誰》

 例年よりは長かったお盆休みもとうとう最終の日曜日になってしまった。十五日のカエルとりで暑さにやられたと思っていた妻は、元気なのだが、咳がでて治らない。体調をくずしたところにそれまでの疲れが出てきているような感じだ。特に上の娘はどこか気の利いたところへ連れていってやりたかったけれど、そんなこんなで休みのあいだはどこへもいけなくなってしまった。

 上の娘は、どこへ行きたいときくとまず「おともだちのおうち」と答える近ごろ。そう言われても、たいていのお宅では自分の子どもだけでも手一杯だろうし、事前の約束がなければ急に訪ねるわけにもいかない。他には?ときくと、近所のプールに行きたい!ということが多い。これも毎度毎度だとなんだか不憫なような気もしてくるのだが、だからといってそのつど遊園地!と言われても困るだろう。本人が楽しいのだからそれでいいのだと思うことにして、娘と二人、いつものプールでお盆休みをしめくくることになった。

 プールはかなりの混雑だった。ムダと思いつつも、外から見た時点で「満員やからやめて他のところにしようかぁ」と言ってみる。やはりまったく相手にされなかった。
 水に入るとさっそく小さいほうのすべり台にむかう。もうわたしはついていかないが、手慣れたものだ。二、三回すべると今度は大きいほうにうつった。こちらは大きな浮き輪に乗って、螺旋を一回まわったあと逆にカーブしながら降りてくるようになっている。これも一人でいくというので、わたしはプールの中から、行列に並んだ娘を見ていた。やがて行列が進んで建物のむこうに見えなくなり、それからはすべり台の終点を見ることにした。
 だが、どういうわけか娘はなかなか降りてこなかった。そんなに長いあいだかかるのかなと思いながらも、だからどうするというわけにもいかずさらに見ていた。いくらなんでももう降りてくるだろうと不安になってくる。あたりを見回してみるが、娘の姿はわからなかった。そうこうしているうちに見覚えのある水着の女性がすべってきた。濡れたスリップに下着がうつるような感じで、見るなと言われても目がいってしまう反則技のような水着……いやそんなことはどうでもいい、とにかくその女性が並んでいたのは娘よりもずっとあとで、すべり降りてくるまでにそんなに時間はかかっていなかった。これはもう、とっくの昔にすべりおえてプールのどこかにいると考えるしかなさそうだ。やばいなぁと思って見回してみてもやはり娘の姿はわからない。目印も兼ねていつもかぶらせている濃いピンク色の帽子を忘れてきたことが悔やまれた。浮き輪はわたしがあずかっていたので、もしも深いほうのプールへいったりしたらコトだなぁ、どうしようかと思ってきょろきょろしていると、後ろから「パパ!」といって背中を叩かれた。
「おお! どこにおったんやぁ」
「ここだよ」
「ここだよって、すべり台は? もうすんだのか?」
「うん。すぐにすんだよ」
「やっぱりかぁ。見落としてたんやなぁ。それで、ずっとパパの後ろにおったん?」
「ううん、あっちのちゃいろいほうのあさいところであそんでた。おともだちがいたよ」
「そぉかぁ。……寂しくなって探しにきたんか?」
「うん」
 そういえば娘の目が心なしか潤んで見えた。
「ごめんごめん、悪かったな。ちょっと恐かったか」
「うん」
 台風の影響で風が強く、水に浸かっているほうが温かいような天気だった。今度は深い方にいこうかと場所をかわった。

 プールのあと、仲良しのきょうこちゃんと公園の砂場で日暮れまでもうひと遊び。ベンチで本を読みながらの子守りがずいぶん久しぶりに思えた。


♪ with "One Way Home" / Hooters