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2004年5月15日(土)
◆《幼稚園の同窓会》

 上の娘の幼稚園の同窓会があった。久しぶりに上の娘を幼稚園におくっていく。
「もう一人で行けるよなぁ」
「うん」
「そやけど、何時までかきいてないらしいから、一応一緒に行って先生にきいてみるわ」
「うん。何時か教えてくれたらその時間になったらすぐに家に帰れるから大丈夫やで」
 そんなことを話しながらお互いの自転車に乗っていく。
「どんどん一人で出してやりたいけど、いろいろあるからなぁ……」
「誘拐とか、包丁持ってる人とか、人殺しとかやろ?」
「そうやなぁ。そんなことがそうそうあるわけではないと思うけど、ちょこっと送り迎えして安心できるんやったら、そのほうが親は気が楽やからな」
「うん」
「それに、往きはともかく、帰りはわからんやろう。友だちに『もうちょっとあそぼ』とか言われたらよう帰らんやろ?」
 と言ってわたしが笑うと、娘は怒った顔で、
「帰るって言うたら絶対ちゃんと帰るよ」
 と言った。

 一時間後ということで迎えにいくと、はっきりした閉会ではなく、子どもたちはそのままあそんでいた。娘は園庭の隅であそび道具の箱からロープのついた下駄を出していた。友だちは来てなかったのかときくと、そんなことないけど懐かしいから見てたところだと言う。娘が「懐かしい」という言葉を使うたびにわたしとは違う時間の流れを突きつけられるような気分になる。そのうち友だちがやってきて一緒に地面に座りこんでガラス状の砂粒を探しはじめた。予想通り全然帰ろうとしない。まだまだ娘の言葉を信用するわけにはいかないようだ。

 小一時間してようやく帰ろうとなったとき、娘が無造作に植え込みの葉っぱをちぎった。おいおい、とたしなめると、この葉っぱはいいねんと言う。アヤメのような細長い感じの葉っぱで、繊維と直角に葉の肉に傷を入れると、透明な繊維だけ残して葉っぱが離れた。遠目にはぶら下がった部分が宙に浮いているように見える。魔法の葉っぱらしかった。見ると他の株にも葉っぱをちぎったあとがたくさんあったので、たしかに幼稚園も大目に見ているようだった。
 そういえばこの幼稚園には実にたくさんの植物がある。古くなった桜の幹には、子どもの背の高さぐらいのところにもダンゴムシや小さなコガネムシがいたりする。わたしなどは仮に教育方針や内容を無視するとしても、植物や虫の気配があるだけでいい幼稚園だなという気がしてしまう。下の娘はここで毎日のように「おひめさまごっこ」や「きしゃぽっぽごっこ」をしているそうだ。三年前に上の娘がいたときに大麦が植えられていたところには、今年はエンドウらしき豆がなっている。娘はもちろんそれはちぎらない。

♪ with "Evolution" / Oleta Adams