★..Berlino..Parisi..Londra / Matia Bazar
83年のアルバム。マティア・バザールを最初に聴いたのは、たしかAGFの、インスタント・コーヒーのコマーシャルだったと思う。"Il Treno Blu(愛のブルー・トレイン)"という曲で、迫力のあるボーカルに惚れてレコード屋で見つけたのがこのアルバムだった。日本での編集盤らしい。イタリア版エレクトロニックポップという感じの音だが、そのセンスがいかにもヨーロッパの良き伝統を踏まえた感じで、本格的なテクニックを感じさせるボーカルとあいまって個人的には大ヒットだった。レコードの帯に「未来派ノスタルジー」とあったが、特徴をとらえた見事なコピーだった。
よく聴いていたのは84年以降ということになる。このころ、いろいろあってオンボロの軽自動車に乗っていた。十万円以下で買ったもので、廃車にする前のころには予備のバッテリやラジエータに補給する水を積んで走っていたほどボロかった。これに、発売間もないDiskmanIIというCDプレイヤーにリモコンユニットを買い足して積んでいた。カセットはWalkmanのハイファイバージョンだったと思う。ついでに、父親が入院したときに買った小型の液晶テレビも載せていた。外はボロいが、ドアを開ければ最先端だと悦に入っていたものだ。
車は、もちろん走らないので、いつでもアクセルをベタ踏みにしていたのだがこれがまた楽しかった。なんで走らんとぼやいたり、走れ走れと気合いを入れたり、いつも車と話していたような気がする。バッテリがあがったといっては友だちに助けてもらい、パンクしたといっては修理屋に勤める友だちから古いタイヤをゆずってもらったり、車上荒らしにあって悔しい思いをしたりと、乗っていた期間が一番短いわりには印象の強い車だった。そして、この車で一番聴いていたのがマティア・バザールだ。すでに現在形のノスタルジーなのだけれども。