親父と飲みたいなと、ふと思った。初めてのことかもしれない。
飲めない人には致死量のような酒を毎晩飲んでいた親父を好きではなかった。まじめな話を受けとめてもらえそうになかったというのもある。そんなふうにはなりたくないと思いながら、それなりに毎晩飲んでいるわたし。親父ほどには酔ってはいないつもりだが、つまらないことも話しているのだろうな。
親父は戦争のときのことをよく話した。それがどの程度の時間感覚だったのかが、ようやくわかるようになった気がしたのはつい最近のことだ。要するにその当事者にとってそれほど昔の話でもなく、わたしで言えば今でも続けている音楽の、中学のころの話をするようなものだったわけだ。
親父はサントリーホワイトを愛飲していた。一番安くて一番旨いウヰスキーだと言っていたように思う。ケースで買っていたそれを、ちょこちょことくすねていた。盆と正月ぐらいしか仏壇にそなえたことのないホワイトを、ふと買ってみた。
でももし本当に親父と飲めたとしても、話は合わないのだろうなぁ......。
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