かなり前になるが、小林秀雄の「人形」という文章を、斎藤孝の「理想の国語教科書」で上の娘と読んだ。
急行の食堂車で食事をしている筆者の前に、大きな人形を抱いた老夫婦が座る。所作から、その人形は老夫婦が亡くした息子だと推察される。食事が始まると、妻は食べ物を一匙ずつ人形の口にもっていってから自分の口に入れていた。
そこへ大学生風の娘さんが筆者の隣に座った。彼女は一と目で事を悟る鋭敏さで、その場に順応した。想像力と、迂闊な言葉で相手を傷つけたりしないしっかりとした優しさによって、異様な会食は、極く当たり前に、静かに、敢えて言えば、和やかに終わった――という短い話だ。
読んだとき、娘と二人で真っ先に思ったのは、下の娘の習慣だった。その時点ですでに数ヶ月、今では一年以上(娘の人生の6分の1?)になるが、下の娘は食事のたびにぬいぐるみをテーブルに座らせてその口に食べ物を持っていってから食べるのだった。
いつごろから、どんな人形でやりだしたか正確なところはわからないが、サンタクロースのくれたトトロの人形と食事している写真は残っている。多いときにはテーブルに二、三人、さらに床の上に別のパーティーがあることもあった。ぬいぐるみが好きで、かばんに入れて外出のお供になったりもする。枕元に寝床の籠を置いたり、お風呂に入れたりもする。そのわりにあっさり友だちにあげてしまったりもするのだが。
今、彼女の原風景が作られているとすれば、将来、先の「人形」の話のようなシーンに出くわしても、すんなり順応するのかもしれないと思ってみたり。
最近の一番の家族(と彼女は呼ぶ)は、犬の「うめ吉」だ。一年前にサンタさんにもらった猫の「にゃんみぃ」の白猫版のはずが、都合で犬になったらしい。もちろん「にゃんみぃ」自身も健在。


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…‥・ ぷろふぃーる ・‥…
地域の春まつり。小学校区の町会などの主催で、学校の講堂と運動場を借りておこなわれる。学校の備品を買うために町会がおこなったバザーがはじまりだったらしい。今でもバザーがメインだが、他にもテント計8張りで、模擬店やフリーマーケットが並ぶ。関係者はたいへんだろう。学校関係者も休日返上になる。詳しいことは知らないが、こういった地域イベントも少なくなっていることと思う。
関わってみるまでそんな意識もなかったのだが、この手の地域イベントは子どもたちにとっては本当に良い催しだと思う。とりあえず安全度が高いし、お金を使いすぎたりということも少ない。テーマパークのようにはいかないのですぐに退屈しそうな気もするが、実際は友だちが集まること自体が子どもたちにとっては一番の楽しみになっている。
子ども会は例年の焼きそば屋に加えて去年につづいての射的屋、そしておまけに糸引き飴屋さんもしたのだった。ただし糸引き飴は完売しても数千円にしかならない本当のおまけのようなものだった。
射的屋の景品などは妻がネットでオーダーしたものだった。へびゴマ、トカゲのおもちゃ、竹とんぼなどわりと昔風なおもちゃが多い。だがあっと言う間に売り切れになったのはイガイガの「モヤッとボール」だった。やはりテレビの力はすごいと思うが、同時に、昔風のおもちゃは一見してあそび方のわからない子も多そうだった。昔あそび云々と学校でもやっているようだが、なかなか広まるものでもないのかもしれない。だが知らないだけで、徐々にあそび方が伝わっていくと昔風なおもちゃも人気が出たようだった。
うちの子たちはコップやかばんなど持ちきれないほどの買い物をしていた。もともとの値段ならすごいことになりそうだが、聞くとこれは50円、これは最後のときに10円といった感じだった。
焼きそばは完売。早くに売り切れたので、来年はもう少し増やそうという話もある。途中、今年子どもが卒業する役員から来年は手を引いてもいいかと言ってきたのでダメ、顧問として残るべしと答えた。……二週間ほど前、忙しそうだからもうちょっと役員の数を増やしたらどうかと言ってきておいて、あんたが手を引くはないだろー。面白い人だ。(笑)
♪ with "Bad Habits" / Billy Field
朝から、地域の春まつりの準備に小学校に出かける。数年前まではバザーとしておこなわれていたものが、春まつりにグレードアップしている。
子ども会絡みでは焼きそば屋と射的屋を出す。当日はおそらくなんとかなるのではないかと思うが、準備の土曜日に手伝いにきてくれる人は少なそうだった。
今年はテントが四張りから七張りに増えた。なぁに、なんとかなるなると思っていたが、やってみるとけっこうきつい。特に新しく増えた三つのテントは従来のものより背が高く、キャンバス地の屋根を骨組みに結びつけるのが大変だった。万歳状態だとすぐに腕がだるくなる。駆けつけてくれた二人の役員の存在がありがたかった。
しかし本当に疲れたのはそのあと、その二人の役員とサッカーやらバスケットやらの真似事をしてあそんでいたからかもしれない。わたしは自分のことを、ボールが一個あればずっとあんそでいるタイプの人間だと思っているが、その二人もそうだった。日ごろ動いていないとそんなことでもケガをしそうだが、少しずつでもやっていれば案外動けるものだ。サッカー大会やバスケット大会など、時間があればやってみたい元少年少女も、案外多いのだろう。
♪ with "Rockin' Down The Highway" / Doobie Brothers
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