- Part 3 -

子犬の頃の写真をみつけた。 　もう、十年以上前のもので、生後一ヶ月ぐらいだったと思う。

家の前にとまっていたトラックの荷台にのせてみた。 　乗り物にのる犬の話はよくきくし、ちょいちょい見たりもするから、もうちょっと楽しんでくれると思った。けれど、そんな様子は皆無で、ただひたすら不安そうだった。 　そういえば、ついこないだも獣医にいくのに片道十分ほど車に乗せたら、酔ったのか、帰りには吐いていた。幼児体験の影響だろうか。

向かい風になると、風圧で耳が立つ。コウモリみたい……と誰かに言われた。

一番最初につけられた名前はチータだった。 　ちょっと違うなぁと思って「ドン」にしたが、気に入ってくれてるだろうか。

目つきや表情は、今もあまり変わっていないような気がする。

このところ、自分で引っ掻いてつけた耳の傷が悪化し、散歩も不自由なほどだった。 　……あまりにも元気がないので、そろそろ寿命かなぁとまで思ったが、なんとか回復しそうだ。（98/05）

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